「この1試合のために半年間やってきた」

「全然鹿島で出られなくて、メンバーに入ることも難しかった。コンディションも常に良い状態で、カップ戦でもいいプレーをしながらも、リーグ戦で出られなかったという悔しさがあった。この1試合のために、リーグ戦に勝つために半年間やってきたようなものなので、諦めずにやってきたことがよかったという気持ちです」

　新たなチームに適応することは簡単ではないが、これが5チーム目となるキム・ミンテ。広島戦後には、「フィットすることも大事ですが、チームをどう変えていくかを考えている」と、馴染むことだけではなく、湘南に新たなものをもたらそうとしている。

　声援でかき消されていたが、キム・ミンテは最終ラインから声を出し続け、味方を動かし続けていた。「自分にできることを探して声をかけながら、リーダーシップを取って引っ張っていけるように」とも話す。

　久しぶりの勝利により、湘南は再び息を吹き返した。このまま浮上するか、再び暗闇に葬られるかは自分たち次第。ただ、キム・ミンテは「この順位にいるチームじゃない。このチームならもっと上にいける」と可能性を感じている。新たなディフェンスリーダーの下で、湘南は上々のスタートを切った。

（取材・文：加藤健一）