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Jリーグ 1年前

結局、鈴木優磨の何が凄いのか? 鹿島アントラーズを2度救った男「戦術も大事だけど」【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

鈴木優磨の頭脳

FC東京戦で3得点に絡む活躍を見せた鈴木優磨
【写真:Getty Images】



 前半終了間際の45分に奪った鹿島の逆転弾も2人が絡んだ。左サイドを突破した安西幸輝の鋭い折り返しに鈴木優磨が飛び込み、こぼれたところに反応した樋口が右足ボレーで合わせた瞬間、ゴール前で垣田が確実に頭で押し込んだのである。

「相手も120分間、天皇杯を戦ったチームなので、ガクンと落ちたのは戦いながら感じていた。カキが2点目を決めてくれたことが非常に破壊力があった。後半を戦っていく中で相手もメンタルや体に来ると感じたので、3点目が取れると思いました」と鈴木優磨もこれで敵を圧倒できると確信したという。

 確かに後半の鹿島はFC東京を圧倒。後半9分のディエゴ・ピトゥカの3点目も当然の流れだった。ここでキラリと光ったのが鈴木優磨の動き。仲間からパスを受け、前を向いた背番号40は左から安西が上がってくるタイミングを確実に見極め、一番いい状況でパスを供給。そこからマイナスクロスが仲間に入り、シュートのこぼれ球を拾ったピトゥカが遠目の位置から押し込んだのだ。

 鈴木優磨が微妙にタイミングをズラし、安西にボールを送ったことで相手守備陣が完全に崩れる結果になったわけだが、こういった頭を使ったプレーをこの日の彼は随所に見せていた。鈴木優磨は激しさや強度を前面に押し出すFWという印象が強いが、垣田が指摘した通り、ボールを収める技術や展開力、戦況を冷静に見極めながら変化をつける能力も兼ね備えている。その多才ぶりがFC東京戦で改めて実証された。だからこそ、岩政監督も「スゴい男」と賞賛したのだろう。

 結局、3ゴール全てに背番号40が絡み、鹿島は3-1で勝利。勝ち点を33に伸ばし、6位で中断期間に突入することになった。首位・ヴィッセル神戸とはまだ10ポイント差があり、逆転タイトルへの道は険しいが、後半戦に弾みのつく勝ち方をしたのではないか。

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