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Jリーグ 1年前

横浜F・マリノスがはまった「アリ地獄のような罠」。町田ゼルビアが講じた周到な策とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「J2で収まっていく選手ではない」



「こういう試合で活躍するのが彼だし、その持ち味が存分に出た試合でした。気が滅入るようなリハビリを、涙を流しながら送っていた彼を、これから戦力として考えていけるのは嬉しいですね。すっきりした顔で帰ってきましたから、彼もかなり達成感を持っていたんじゃないかな、と」

 松木玖生(FC東京)とのコンビで中盤を制し、2021年度の全国高校サッカー選手権で青森山田を頂点に導く原動力になった宇野は、先制点に絡んだマリノス戦後にこんな言葉を残している。

「J2で収まっていく選手ではないと、自分を信じてプレーしています。その意味で今日はチームとしてチャレンジできる試合だったし、思い切って自分のよさを出せた意味で納得できました」

 さらに松木を意識しているのか、と問われた宇野は、自分の道を進むとばかりにこう語っている。

「いや、プレーを見ていないので、あまりそういうのは興味ないですね」

 2012年と2015年にマークした天皇杯におけるクラブ最高位の4回戦に、王者マリノスを攻守両面で圧倒する快勝で並んだ。しかも、ともにターンオーバーした陣容で町田が手にした金星はサッカー界を驚かせただけでなく、試合へ向けた準備や戦略を含めて、必然に導かれたものでもあった。

 異例の転身を果たした黒田監督の存在を介して、今シーズンの町田はさまざまな意味で注目を集めてきた。チャレンジの過程で達成した快挙は、これまでの過程が正しかったと証明しただけではない。悲願のJ1初昇格をかけた戦いがいよいよプレッシャーを増してくる、残り3分の1あまりとなった今後のJ2リーグでの戦いにも大きな自信を与えながら町田を後押ししていく。

(取材・文:藤江直人)

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