「うまく機能していた証拠」とは?
また、先制点となった伊藤洋輝のシュートシーンをピックアップし、「サイドバックの選手があれだけ高い位置にいてシュートを打てたということは、ビルドアップがうまく機能していた証拠」と、戦前の分析を良い意味で覆されたことを語ってくれた。
今回の2試合では3月に行われた試合と異なり、サイドバックが内側にポジショニングすることがほぼなかった。そのサイドバックのポジショニングについても、チーム内でのスペースの分配が関係していると、アレックスは指摘する。
「今回サイドバックとして招集されたメンバーは、縦へ走り抜けるようなプレーを好む選手が多かったように思う。そういった選手の個性も多少は関係しているが、今回の試合では鎌田や旗手といった中央に位置する選手にスペースを与えるのがチームの意図だったように感じる。サイドバックを含めたサイドの選手が外側にポジショニングすることで、相手チームに横幅を広げさせて中央にスペースをつくることを重要視していた」
パッサーとなる鎌田や旗手の位置するところでスペースができることで前線へのパスコースが開け、三笘や伊東といった日本のストロングポイントである攻撃的なタレントの下へボールを運べており、そこから日本代表は得点機会につなげていた。
「昨今、サイドバックが内側にポジショニングすることでパスコースに角度がつきやすくなり、ビルドアップ時にボールを前進させやすいと言われがちだが、対戦相手、自分たちの強味や弱味といった要素によって変わってくる。日本代表でのビルドアップにおいては、鎌田や旗手がキーになると考えて彼らにスペースを与えることを優先させたのではないだろうか」
そのように森保監督の意図を汲み取ったアレックスは、「そのやり方が良い悪いというより、選手を正確に評価して最善の策を考えた結果」と分析。その上で結果も出た日本代表は素晴らしかったと、今回の試合内容を称賛した。
※第3回に続く
(取材・文:川原宏樹)
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