2選手は「別次元でプレーしていたように感じる」
実際には、先述のとおりエルサルバドル代表CBロナルド・ロドリゲスが前半3分で退場してしまったため、1人多い状況となった日本代表には予想以上に多くのスペースが与えられた。その結果、警戒すべき日本の攻撃陣が躍動して大量得点へとつながった。
そのように終始1人多い状況ではあったが、「日本代表の力がすごく高いことを明らかに見せつけることになった試合だった」と、アレックスは振り返った。戦前にアレックスが分析したとおり、日本はサイドから多くのチャンスを作り出した。「クロスに合わせるのがうまい上田綺世が先発したため、さらにそのサイド攻撃に拍車がかかったのだろう」と、アレックスは戦評を語った。
さらに、旗手怜央と久保の名を挙げ、「特に、彼らは別次元でプレーしていたように感じる」と、MVP級の評価を示していた。
また、4得点を挙げて勝利したペルー戦も、「きれいなサッカー、美しいサッカーを実現できていて、日本代表にとってベストなゲームだった」と評価した。エルサルバドル戦と同様で三笘、伊東らのサイド攻撃を称賛。加えて、そこへパスを供給する役割を担った鎌田大地、旗手がプレーしやすいように、チームで彼らのスペースを作り上げていたことを挙げ、「スペースの分配に対して、各々の選手が適度な距離感でできていたことが勝因のひとつ」と分析した。
それは攻撃面だけでなく、守備面においても良かったと、遠藤航について言及している。「前線がボールを前進させて攻撃に転じると、最終ラインや中盤のラインと幅が広がってしまいスペースができることがある。遠藤航はそういった危険になり得るスペースや相手に対して、ボールロスト直後に守備対応できるポジショニングを取っていた。それは危険な状況になる手前で抑制できていて、チームに安定感をもたらしていた」と、見えづらい重要な役割を称えていた。
その「スペースの分配に関する各々の距離感」は、ビルドアップでも好循環をもたらしたと、アレックスは評価している。
※第2回に続く
(取材・文:川原宏樹)
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【プロフィール】アレックス・ラレア
プロ選手としてカナダでプレーした後、指導者の道に進み、欧州最高位の指導者ライセンスUEFA PROを取得する。2020年からは元スペイン代表、元ヴィッセル神戸のダビド・ビジャが主宰するサッカーするクール『DV7サッカーアカデミー』日本支部のディレクター・コーチを務める。
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