武藤嘉紀の反省とイニエスタの限界
「僕も久しぶりに1トップをやって力不足だったと思います。普段、僕らがやってるサッカーと真逆のスタイルになってしまったので、ああなると後ろもキツイし、前からもプレスに行けていなかった。誰が入っても同じサッカーをやっていかないといけないのに、できなかったのは僕らピッチに入った選手の責任でもあると思います」
イニエスタ加入から5年かけて構築してきた「つなぐスタイル」に効果を示せず、敵を凌駕することができななかったのは、今の神戸が直面した1つの現実だと言っていいだろう。
0-1のビハインドを跳ね返すべく、吉田孝行監督は後半頭に汰木を下げ、満を持して大迫を投入。彼を最前線に配置し、右に武藤、左にパトリッキという配置に変更した。
後半開始の笛が鳴るや否や、大迫は一気にペナルティエリア付近まで駆け上がり、いきなりファウルをゲット。イニエスタに好位置でのFKをプレゼントする。背番号10がいるだけでボールの収まり方がガラリと変わるのは紛れもない事実。イニエスタも大迫ともう少し長く共闘したかったのではないか。
ただ、ゲームから長く遠ざかっていた名手にしてみれば、60分が体力的な限界だったのだろう。後半12分に佐々木大樹と交代を命じられ、キャプテンマークを山口蛍に託し、名残惜しそうにピッチを去った。
ここから神戸は今季本来のスタイルで点を取りに行くことになった。右の酒井高徳のクロスに大迫とパトリッキが飛び込んだ24分の決定機、左の武藤の折り返しに大迫がヘッドで合わせた29分のビッグチャンスなど、確実にゴールの匂いが感じられるようになったのは確かだ。
札幌も岡村大八中心に大迫対策を徹底した。