「いつもの神戸よりは怖さはなかった」理由
しかし、序盤からペースを握ったのは札幌。サイドチェンジを効果的に使いながら右の金子拓郎の突破、前線の浅野雄也のスピードを生かした攻撃を見せ、相手守備陣を脅かした。
逆に神戸は両ウイングが高い位置を取れず、イニエスタにもボールが入らない。攻撃リズムも作れなかった。最初のチャンスは18分。武藤のヘッドの落としからパトリッキが菅大輝の背後を取ってフィニッシュまで持ち込んだシーンだ。が、最後のシュートを守護神・菅野孝憲に防がれ、得点には至らなかった。
そんな中、神戸は札幌に先制点を許してしまう。前半26分、荒野拓馬から駒井善成を経由してボールを持った右の金子がドリブルで仕掛け、絶妙のクロスを入れたのだ。これをGK前川黛也が右手でパンチングしたが、こぼれ球をスパチョークに拾われ、押し込まれてしまった。
「いつもの神戸よりは怖さはなかった。『放り込まれて大迫選手』っていう形の方が自分たち的には厳しかったから。今日の前半は比較的セカンドボールも拾えていましたし、いろんな場所で数的優位を作れていたので、主導権も握れたと思う」と田中駿汰もコメントしていたが、躍動感あるサッカーをしていた札幌にしてみれば、奪うべくして奪った先制点に違いない。
裏を返せば、それだけ前半の神戸が停滞したということでもある。イニエスタが彼らしさを示したのは、背後に抜け出した酒井高徳に縦パスを送った34分の場面、汰木とのワンツーからゴール前に侵入してシュートを試みた36分の場面くらい。激しいプレスを受けてボールを奪われるシーンも散見され、試合勘の不足が目についた。
武藤の1トップも大迫ほどタメを作るには至らず、前半終了間際に汰木からパトリッキにラストパスが入ったビッグチャンスも決まらない。前半45分間はモヤモヤ感を拭えないままだった。
武藤は苦渋の表情を浮かべながら反省の弁を口にしている。