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Jリーグ 1年前

浦和レッズ背番号14が抱く“師匠”への思い。2得点の喜びを上回った感情とは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

大久保智明と瞬時に共有した狙い

明治安田生命J1リーグ第12節延期分、湘南ベルマーレでゴールを決めた関根貴大

【写真:Getty Images】



 65分の2ゴール目は、カウンターから理想的なコンビネーションで決めた。

 キャプテンのDF酒井宏樹が自陣で相手ボールを奪取。パスを受けたトップ下の安居海渡がハーフウェイライン付近まで持ち上がり、3人に囲まれながらも右タッチライン際にいたMF大久保智明へボールを託した。そして大久保は迷わずに縦へのドリブル突破を選択した。

 この間、酒井は左斜め前方向へ猛然とスプリントし、相手ペナルティーエリア内へ侵入していく。さらに酒井の左側には、FW興梠慎三との交代で投入されたばかりのFWホセ・カンテも走り込んでいる。大久保を含めた味方の位置を把握しながら、関根も相手ゴール前へ走っていった。

「あの場面では本当にいい形で右サイドを展開して、宏樹くんが『何でそこにいるんだろう』と思うぐらいの、まるでセンターフォワードのようなスプリントで相手の最終ラインを引っ張ってくれた。宏樹くんの後ろがすごく空いていたのが見えていたし、そこへトモ(大久保)もいいボールをくれた。あとは絶対に上へふかさないように、ということだけを意識して冷静に流し込みました」

 クロスを上げる体勢に入りながら、大久保も冷静沈着に状況を見極めていた。

「中の状況も見えていたけど、誰がどこにいたのかはわかりませんでした。ただ、マイナスに走ってきている味方の選手が見えていたので、そこに合わせました。タカくん(関根)に感謝ですね」

 大久保との間で瞬時に共有されたのは、ペナルティーエリア内の右隅あたりに生じていたスペース。酒井との距離を空けたまま湘南ゴールへ迫っていた関根は、ゴールが見えてきたところで走るコースを右斜め前へスイッチ。一気に加速してMF阿部浩之の前方に入り込み、右足をヒットさせた。

 ゴール右を美しく射抜いた低空の一撃を、関根も満足そうに振り返っている。

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