アビスパ福岡
前半戦評価:C
監督:長谷部茂利
前半戦成績:11位(勝ち点20/5勝5分7敗)
長谷部茂利監督は現在のスカッドの中から最大限の能力を引き出している。アビスパ福岡は開幕から5勝2分1敗で一時は3位に浮上。しかし、その後はやや調子を落とし、ラスト6戦で勝利がなく、11位で前半戦を終えている。
J1・3年目となった今季も堅守がベースにある。ただ、負傷者の続出がチームの成績に影響している。4月に手術を受け、全治5か月と診断された亀川諒史のいない左サイドは層が薄く、中盤では井手口陽介が復帰したものの、今月には中村駿が肉離れで戦線離脱している。
レベルの高い競争となっている永石拓海と村上昌謙のGK、前寛之や山岸祐也といった軸となる選手の頼もしさは相変わらず。U-22日本代表にも選出された重見柾斗、鶴野怜樹など若手の台頭も見える。理想的な展開とまでは言えないが、現有戦力の奮闘と新戦力の台頭で、現在の順位に踏みとどまっている。前半戦の評価は真ん中で、「健闘」という言葉が当てはまるはずだ。
サガン鳥栖
前半戦評価:C
監督:川井健太
前半戦成績:10位(勝ち点23/6勝5分6敗)
川井健太監督にとって1年目だった昨季は11位。スタイルの浸透で上位進出も期待された今季は開幕からつまずいた。湘南ベルマーレに1-5で敗れた開幕節は衝撃で、その後も僅差で落とす試合が続いた。しかし、6戦無敗で前半戦を終え、昨季の最終順位を上回る10位でシーズンを折り返している。
宮代大聖や垣田裕暉の抜けた穴を埋める活躍が期待された富樫敬真と横山歩夢は怪我に苦しみ、福田晃斗や本田風智の負傷離脱もチームにとっては痛手になっている。新加入の山﨑浩介や河原創はJ1でも存在感を示しているが、選手層の薄さは感じる。ただ、前半戦ラスト6試合中4試合で複数得点を挙げており、課題だった得点力不足は少しばかり改善されている。
ここまでは勝ち点23の10位で、勝ち点ベースでみれば昨季の前半戦終了時(勝ち点24)とほぼ変わらない。ここから上を目指すか、残留争いに巻き込まれるかはわからないが、前半戦最後に吹いた向かい風をさらに加速させることができるだろうか。
アルビレックス新潟
前半戦評価:C
監督:松橋力蔵
前半戦成績:13位(勝ち点17/4勝5分8敗)
6年ぶりにJ1へ戻ってきたアルビレックス新潟は、2勝2分と好スタートを切ったものの、結果的に勝ち点17の13位という成績で前半戦を終えている。13位という順位はまずまずだが、降格圏との勝ち点差はわずか5で一切の油断を許さない状態だ。
昨季、9得点11アシストを記録して新潟をJ1昇格に導いた伊藤涼太郎は、今季も7得点4アシストと圧倒的な成績を残した。しかし、チームは17試合で19得点で、J2で見せていたような破壊力は影をひそめる。小見洋太や三戸舜介は可能性を感じさせるプレーを見せ、高木善朗も復帰したが、伊藤が抜ける後半戦は正念場となるだろう。
最大の問題は28失点したディフェンス面にある。小島亨介のビッグセーブで救われたシーンは多かったが、J1で生き残るためにはチーム全体としてレベルアップが必要だ。空中戦では分が悪く、前半戦の空中戦勝率は45.2%と低く、セットプレーやクロスからの失点が多い。
フィニッシュは伊藤に依存しており、ディフェンスは小島に助けられた前半戦だった。J1でも相手のプレッシャーを怖がらずにビルドアップで前進して主導権を握るスタイルは貫いている。ただ、直近の湘南ベルマーレや京都サンガF.C.には高い位置からのプレスに苦しんだり、ボールを持たされてうまく前進できない場面も多かった。前半戦ラスト3試合でガンバ大阪、湘南、京都に勝利できなかったことは、残留に響く可能性も否定できない。