鎌田大地が描く将来像「足も速くないし…」
6月シリーズから背番号が、カタールワールドカップでも背負った「15」から「8」へと変わった。3月シリーズまで「8」を背負っていた堂安律が熱望してきた「10」を拝命。鎌田は「それによる玉突きでたまたま変わった、という感じです」とこのときも淡々と語っている。
「(背番号に)特にこだわりはないです。割と『15』のイメージをつけられていたけど、僕自身は『15』も別に好きじゃない。好きな番号はありますけど、いつも埋まっているので」
背番号の「8」に興味はなくても、サッカーのポジションとしての「8」には強くこだわってきた。敵陣で味方のボランチと前線とをリンクさせ、攻撃面で違いを生み出しながらフィニッシュにも絡む。バイタルエリアを支配する「8番」タイプを、鎌田は自分自身の将来像として思い描いてきた。
森保ジャパンで日本代表キャップを積み重ね始めた3年ほど前。いわゆる「10番」タイプの選手が務めるトップ下や、状況によっては「9番」として1トップで起用されていた鎌田は「8番」か、もしくはボランチの「6番」が最適解のポジションだと自己分析している。
「代表は別かもしれませんけど、ヨーロッパで上のクラブへ行くためには『6番』か『8番』しかないと、サガン鳥栖にいたときからずっと思っていました。僕は足も速くないし、特にヨーロッパにおいてスピードで仕掛けるのは難しい。フランクフルトでは『10番』の役割を求められていますけど、僕自身ではやりたいポジションにかなり近づいていると感じています」
トップ下の「10番」もイメージとはちょっと違うと、鎌田は再び自己分析を展開する。
「いつも言っていることですけど、自分はそんなにめちゃくちゃゴールを決められるタイプじゃない。中盤の選手の割にはゴールに絡んでいける、という感じですね」
今シーズンのリーグ戦では9ゴール7アシストをマーク。ベスト16に進出したUEFAチャンピオンズリーグと準優勝したDFBポカールを含めれば、ゴール数は「16」に達した。それでも鎌田は「数字の部分では、もう十分過ぎますね」と淡々とした口調で振り返る。
「自分としては、毎年15スコアポイントを最低限のラインとして出せるように、と思っている」
ゴールとアシストを合計した数字を、例年通りに最低でも「15」に設定して臨んだ昨シーズン。目標を大きく上回ったスコアポイントよりも、ほとんど試合でポジションを「8番」ではなくボランチ、つまり「6番」としてプレーしてきた軌跡が鎌田の新たな血肉になった。
6月シリーズ中の取材対応で、鎌田はこう語っている。