チームとして良さが出たゴール
「大地くんがうまく処理してくれて、そこからゴールに繋がった。あれこそが僕らがやろうとしている攻撃。相手が前から来ているからといって臆さずにビルドアップして、いいポジションを取って、みんなで関係を持ちながら連携していくなかですごくいい崩しに、すごくいいゴールになった。前線の選手のスペシャリティーぶりが本当にすごい。そこに感謝しかないですね」
出し手の菅原がミスだと自らを責めかけた難しいパスを、鎌田は前へ進みながら右足のアウトサイドで優しくタッチ。パスのスピードを巧みに殺し、なおかつボールを自身の前方に小さく弾ませて再び間合いに収めた。神業にも映るトラップを軽やかに、いとも簡単に成功させただけではない。
さらにひと呼吸置いて、鎌田は左サイドをフリーで駆け上がっていた左ウイングの三笘薫へパスを供給する。ボールの軌道は三笘をさらに前方へ走らせる、絶妙のコースを描いていた。
そして、右足だけを駆使した独特のタッチによるドリブルから、三笘はペナルティーエリア内に侵入した直後に右側へカットイン。次の瞬間、右足から放たれたシュートは相手ディフェンダーに当たって軌道を変え、さらに相手キーパーの逆を突いてゴールネットを揺らした。
中村のゴールキックから、三笘のゴールが決まるまでわずか20秒あまり。その間、ペルーの選手に一度もボールを触らせない完璧な流れのなかで、鎌田の非凡さが異彩を放った。
もっとも、鎌田本人は淡々としていた。試合後の取材エリア。鎌田は「いいトラップができたと思いますけど」と自身のプレーに短く言及しただけで、味方の選手たちに感謝している。
「その前に由勢と純也君とで、うまく2対2を崩せたところも大きかった。あとは薫の個人的なクオリティーの部分もあったし、チームとしてよったと思っています」