「動かさなくていい」サッカー日本代表の対応力
2点目の三笘の得点の後、森保一監督とキャプテンの遠藤航が話し合っていた。
「ペルーが3枚でビルドアップしていたのでアンカー(遠藤)が捕まえにくそうだった。システムを変えるかどうかの投げかけをしたが、(遠藤が)『対応できているので動かさなくていい』というやりとりだった」(森保監督)
後半からは右インサイドハーフの鎌田が前に出る形で対応している。相手の3枚回しに対して古橋亨梧、鎌田、三笘が対峙。右ウイングの伊東はポジションを下げる形になったが、可変する相手に人を合わせる解決方法に、選手たちの自信がうかがえる。
カタールワールドカップのドイツ代表戦では、後半にマッチアップを合わせたら1対1で負けなかった。強豪相手には1対1にしたら不利だという、それまでの固定観念を覆す経験をしているのは大きいのかもしれない。
ただ、60分あたりから守備ブロックが後退している。2-0というスコアや選手の疲労もあるが、マッチアップを合わせにいったことも要因だろう。ここからはカタールW杯のときに近い戦い方になった。
引いた守備からのカウンターはボールを収められるFWがいないと苦しいのだが、交代で入ったばかりの前田大然がスピードを生かして前線で絡み、こぼれ球を拾ってから三笘のGKとDFの間に流し込んだパスを伊東が受けてGKをかわしてゴール。電光石火のカウンターで3-0とリードを広げた。
71分に堂安律、久場建英が登場してからは、前田と久保を2トップに置いての4-4-2に変更。さらに遠藤に代えて瀬古歩夢をボランチに入れる。
板倉滉や谷口彰悟をボランチに上げるのかと思ったが、あえて瀬古にしたのは運動量と強度を維持したかったからだろう。将来につながる起用かといえば疑問だが、この試合の終わらせ方としての妥当性はある。ただ、4-4-2にしてからは前田の得点、久保の惜しいミドル、右SB相馬勇紀の攻め上がりなどカウンターの威力はみせたものの、守備は怪しくなり終盤に失点している。