以心伝心のホットライン
「22歳にして自分の力でチャンピオンズリーグに出られる日本人選手は、いまのところ一握りだと思うので。日本代表という観点で見ても、すごくいいシーズンでした」
スペインにわたって4シーズン目で、覚醒を遂げたと言ってもいい結果を残した。持て余していた才能をようやく解き放ち、その対価として得た充実感や自信を代表にも還元できる、という手応えが伝わってくる。その一方で、エルサルバドル戦後にはこんな言葉もつけ加えている。
「今回の結果は自分にとって大きいですけど、特に(代表での)ターニングポイントとかではないですね。いまはすごくコンディションがいいし、試合に出ればやれる自信もあるので」
ターニングポイントではなく通過点だと、22歳になったばかりの久保は言いたかったのだろう。胸中に抱く自信を忌憚なく、時にはキャッチーな表現も介して言語化する久保とは対照的に、26歳と中堅の域に差しかかった三笘のコメントには、シャイで控え目な性格も色濃く反映される。
それでも、その一言一句には代表の将来へ向けたビジョンや自己主張が散りばめられている。
「どのような相手にも勝てる可能性があるので、そこを目指すのは大事だと思っています。そのうえでワールドカップのベスト8が、通過点になればいいと思います」
6月シリーズから新キャプテンに就任した遠藤航が発した「世界一を目指す」をポジティブに受け止めた三笘は、最終的には6-0で圧勝したエルサルバドル戦の価値をこう語る。
「結果だけを見れば『相手が弱い。簡単な試合だ』と言われるかもしれませんが、実際にはそんなことはない。自分たちで作り出したものですし、そこは評価しないといけないと思います」
つい半年前のカタールワールドカップまでは、三笘も久保も先発のファーストチョイスにはなりえなかった。しかし、年が明けてからイングランドとスペインを席巻してきたプレーの数々が彼らのメンタルをも変貌させ、代表チーム内における序列をも変えつつある。
6月シリーズの初戦で実現した通算5度目、時間にして45分あまりの共演。そこには三笘のアシストから久保がゴールを決めた以心伝心のホットラインを含めて、第2次森保ジャパンの攻撃を左右のウイングから大きく変える無限の可能性が凝縮されている。
(取材・文:藤江直人)
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