三笘薫→久保建英。1年前の再現
「基本的に三笘選手は単独で勝負できますけど、あそこまで高い位置だと縦へ行くよりも中の方へ切り返すのかなと思って。そこで僕がいい位置にいたら、もしかしたらリターンをくれるかなと。本当に軽い気持ちでしたけど、理想通りのボールを出してくれた感じですね」
三笘のプレースタイルやストロングポイントを的確に把握。さらにペナルティーエリア内にいた旗手怜央、上田綺世、堂安律が相手のマークにあっていた状況も、久保のひらめきを後押しした。
実際、ニアにいた旗手を狙った三笘の最初の横パスは相手選手をかすめ、コースを変えた末に別の相手選手にわたっている。チャンスが潰えたかに思われた次の瞬間、三笘はブライトンでの戦いで骨の髄まで染み込ませた、攻撃から守備への素早い切り替えを実践した。
素早くスプリントしてペナルティーエリア内へ侵入し、相手の横パスを受け手の眼前でインターセプト。次の瞬間にモードを今度は守備から攻撃へ切り替え、最終的には久保のゴールをお膳立てした三笘は、数秒の間に繰り出された自身のプレーをこう振り返っている。
「自分たちがボールを失った後の(攻守の)切り替えのところはチャンスになるので。ああいう場面では常に狙っていましたし、そこが(ゴールに)つながったのかなと思います」
昨年6月のガーナ戦で、久保の代表初ゴールをアシストしたのも実は三笘だった。
2-1とリードして迎えた73分。得意のドリブルで左サイドからペナルティーエリア内へ侵入し、2人をかわした三笘が直後に体を反転。マイナス方向へ右足で出した緩めのパスに、ゴール正面に生じていたスペースへ、右サイドから飛び込んできた久保がダイレクトで左足を合わせた。
デビューから3年あまり。出場17試合目で決めた待望の代表初ゴールに、久保は「とりあえずこれでゼロとは言われなくなりますね」と周囲を笑わせながら、さらにこんな言葉を紡いでいる。