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「三笘対策への対策」三笘薫が変わった? レオザが考察するウォーカーに封じられた理由

シリーズ:コラム text by 加藤健一 photo by Getty Images

三笘薫が見せたシーズン終盤の変化



「相手は三笘に抜かれるのが嫌なので、距離をとる。間合いをとって抜かれないようにしている間に味方が戻ってくれば、2対1で守ることができる。三笘は相手を抜いてセンターバックをつり出したいけど、距離をとられたら抜けないのでドリブルが活きない」

 相手が抜かれないように距離を置いてくると見るや、三笘は次なる一手を用意した。

「シーズン終盤の三笘はアウトサイドのパスが増えている。ドリブルの流れのまま利き足でパスが出せるじゃないですか。あれを増やしたのは素晴らしいですね」

 ドリブルの姿勢のまま、右足のアウトサイドでゴール前にパスを送る。そうすることで、相手は距離を詰めなければいけなくなる。「距離をとられたらアシストもできるよと言わんばかりにアウトサイドを使うようになった」とレオザは考察している。

「トップレベルで生き残り続けるには、グーチョキパーをすべて使えるようにならないといけないですよね。最強のグーを持つ(アリエン・)ロッベンみたいな選手もいますけど、当時は今に比べると守備戦術が整備されていないチームが多かった」

 対策をされたら、それを上回れるような技を身につける。トップレベルの選手たちは日々、想像を超えるような高い次元で競争し続けている。三笘を「自分に向き合う力がすごいんだと思う」と分析するレオザは、「あのような選手が一番いい時期に、こういう仕事で見ることができるのは幸せです」とかみしめるように言った。

(取材・文:加藤健一)

書籍情報

蹴球学 名将だけが実践している8つの真理
著:Leo the football
構成:木崎伸也
刊行:KADOKAWA

Youtubeでリアルタイムで 試合分析を配信しているLeo the football
【写真:KADOKAWA】

Leo the football氏(上)、木崎 伸也氏(下)

Leo the football:日本一のチャンネル登録者数を誇るサッカー戦術分析YouTuber。
日本代表やプレミアリーグを中心とした欧州サッカーリーグのリアルタイムかつ上質な試合分析が、目の肥えたサッカーファンたちから人気を博す。サッカー未経験ながら独自の合理的な戦術学を築き上げ、自身で立ち上げた東京都社会人サッカーチーム「シュワーボ東京」の代表兼監督を務める。

木崎 伸也:「Number」など多数のサッカー雑誌・書籍にて執筆し、2022年カタールW杯では日本代表を最前線で取材。
著書に『サッカーの見方は1日で変えられる』(東洋経済新報社)、『ナーゲルスマン流52の原則』(ソル・メディア)のほか、サッカー代理人をテーマにした漫画『フットボールアルケミスト』(白泉社)の原作を担当。

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【了】

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