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Jリーグ 2年前

「ずる賢く勇敢に」川村拓夢が初選出のサッカー日本代表にもたらす新しい風【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

「もうそこだけかなと思います」

川崎フロンターレ戦に出場した川村拓夢
【写真:Getty Images】



 東俊希の突破を大島僚太がカットしたのが全ての始まりだった。家長昭博を経由して脇坂にボールがつながった際、広島の野津田が奪いに行ったが、アッサリとかわされ、再び右の家長にリターンされた。次の瞬間、レアンドロ・ダミアンがペナルティエリア内でスッと右へ移動し、パスを受けると巧みにヒールで流した。ここに侵入した脇坂が佐々木翔を抜いて右足を一閃。見事にネットを揺らすことに成功したのだ。

 この日は脇坂の28歳の誕生日。広島としては、一番ゴールを与えてはいけない選手に点を取られる格好になってしまった。しかも、1点のビハインドは重くのしかかった。ケガ人の影響でベンチパワーも乏しく、最後までゴールが遠かった。

 川村も「前半から自分たちのサッカーができて、押し込めた中で、後半の1本でやられてしまった。もうそこだけかなと思います」と伏し目がちにコメントした。連勝を逃し、順位も5位に下がるという結果はやはり受け入れられないものだったに違いない。

 結局、この背番号8は90分間を通してシュート3本を放ったが、無得点。いかにしてフィニッシュの精度を上げていくかという課題に直面した。代表ではボランチを中心に2列目のサイドでも起用される可能性があるが、どこで出たとしてもパンチ力あるシュートを決められなければ、厳しいサバイバルに勝ち抜くのは難しくなる。新参者のアタッカーは結果がより強く求められる。本人もそれをよく分かったうえで、12日からの代表活動に合流する覚悟だ。

 川村本人は語気を強めて、代表への意気込みを話す。

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