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“あの日”から2年。死の淵を知ったエリクセン、心境の変化と壮絶な復帰までの道のり【コラム】

シリーズ:編集部フォーカス text by 安洋一郎 photo by Getty Images

エリクセンを後押しした最新の研究



 何とか一命を取り留めたエリクセンは、心停止で倒れてから数ヶ月後に植込み型除細動器(ICD)を装着して生活することを決断した。

 国立循環器病研究センターのホームページによると、ICDとは「常に心臓の脈を見張り、頻拍の発生を検知すると不整脈が停止するよう自動的に電気ショックなどの治療を行う器械」のことである。エリクセンはこの器械を使用することで、心停止の再発を予防することが可能となった。

 普段の生活を行う上でICDを使用することは何も問題はないのだが、当時エリクセンが所属していたインテルでプレーすることは難しくなった。というのも、イタリアのスポーツを総括するイタリア国立オリンピック委員会(CONI)は、ICDを装着した状態でサッカー選手としてプレーすることを認めていなかったのだ。

 実際にイタリアでは心停止でサッカー選手が亡くなった事例が何例もあり、選手の命を最優先にした判断なのだろう。

 イギリス『BBC』の取材によると、2015年より前はどの医師もICDを装着した上でゴルフよりハードなスポーツを行うことを勧めていなかった。しかし、アメリカのイェール大学の研究チームが、ICDを装着して競技に臨む440人のアスリートを4年間追跡調査したところ、誰一人として心臓の影響での怪我や死亡例はでなかったそうだ。

 当時アヤックスに所属していたオランダ代表DFデイリー・ブリントもICDを装着しながらプレーをしていた選手の一人だ。エリクセンは同選手とコンタクトを取って、実際にアムステルダムで話を伺ったと明かしている。

 医師やブリントらの話を聞いたエリクセンはサッカー選手として復帰することを決断し、21年12月にインテルと契約を解除。新天地を探す中で、古巣であり、ブリントが所属していたアヤックスのトレーニングにも参加した。

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