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“最強”マンCにマンUが対抗した方法とは? FA杯決勝で激突した両者の武器【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 編集部 photo by Getty Images

マンCを勝利に導いたDFの難しい役割とは?



 マンUの守備の強度や粘りが光っていたことで、マンCにとっては決して簡単な試合にはならなかった。ゴール期待値を見ても、マンUが1.87点に対してマンCは1.21点に留まり、ギュンドアンのスーパーゴール2つによってスコア上、上回ることができたという形だ。(データサイト『FotMob』参照)

 つまり、ギュンドアンのシュートに代表されるような選手個々の質の高さが、マンCの勝利の要因だった。マンCの選手達の能力が優れていることは言うまでもないことだが、この試合は際立っていた。

 マンUの組織的な守備と粘り強い対応に手を焼いたものの、マンCは局面一つ一つで質的優位を取り、試合の主導権自体はしっかりと握り続けた。プレッシャーを受けても冷静な状況判断でパスミスは犯さず、球際ではフィジカルやテクニックを生かして守備を剥がす、こういった巧さや強さはマンUを圧倒していた。

 特にジョン・ストーンズは目を見張る働きを見せていた。本来はDFの彼だが、ビルドアップでは中盤に入ってボールプレーの巧さを発揮し、敵陣ではロドリよりも高い位置を取って攻撃の6人目として積極的にペナルティエリアにも侵入していく。1点を守る終盤には、本来のDFの仕事をこなしてゴール前に立ちはだかった。難しい役割を完遂し、ピッチの全てのエリアで効果的な存在となった。

 両チームともに強みを出し合った一戦は、今季国内最後の試合に相応しい内容だった。マンチェスターの2チームの争いが夏を経て来季によりハイレベルになっていくと想像すると、楽しみは尽きない。
 

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