今のFC東京に必要なもの
2-3の逆転負けは悔しかったに違いないが、古巣を改めて客観視したことで、見えたものは少なくなかった。
実際、この日のFC東京はいいプレスのかけ方やボールの奪い方をして敵を凌駕できた時間帯もあったし、ディエゴ・オリヴェイラの2ゴールのように相手守備陣を混乱に陥れた場面もあった。それでもいい戦いを持続できない。結果として逆転負けしてしまうのが、今のFC東京なのだ。
「やっぱり勢いを最初から出していくところが今のチームに必要かなと思います。FC東京はもともと力があるし、団結した時は強いですけど、サッカーはチームスポーツ。そういう部分がマリノスよりはまだ足りてないのかな」とも仲川は分析する。
J1を2度制した30歳のアタッカーの言葉をFC東京の面々がしっかりと聞き入れ、いい方向に持っていく努力をし続けること。それがリーグ3戦未勝利・暫定12位という苦境から抜け出すきっかけになるのではないか。
仲川自身も試合後、ケヴィン・マスカット監督やコーチ陣、かつての仲間たちに次々と声をかけられ、喜田拓也とユニフォーム交換をしたことで「自分はFC東京でやっていく」という決意と覚悟を新たにしたことだろう。「東京の仲川輝人」はどんなアクションを起こしていくのか。ここからの一挙手一投足に期待を寄せつつ、見守りたい。
(取材・文:元川悦子)