サッカー日本代表MFが完敗「やりたいプレーをやられた」
特に見応えがあったのは、川村がボランチに下がってからの2人のマッチアップだ。何度かデュエルのぶつかり合いが見られたが、ほぼ伊藤が勝利していた。川村が「伊藤選手は最後のゴールもそうですけど、ゴール前に入っていくっていうのは本当に僕の力負け。僕がやりたいプレーを伊藤選手にやられたなっていう感じです」と完敗を認めるほど、この日の伊藤は異彩を放っていた。
とりわけ、目覚ましい進化が見られるのは、終盤まで高強度のプレーを持続し、最後の最後でゴールに絡む結果を出せるようになった点。昨季の伊藤は後半途中に下がるのが常で、「90分間高いインテンシティーでプレーし続けられるようにならないといけない」と口癖のように話していた。けれども、今季はリーグ14試合中10試合でフル出場しており、エネルギー切れになる印象は全くない。
「体力的なトレーニングは去年からもしてますけど、全体的な走行距離的にはまだまだ足りないと思うので。でも前に出ていくタイミングだったり、要所要所でスプリントするところは去年よりはうまく配分しながらやれているのかなと。今季は多くフル出場できてますし、そこは成長した部分かなと感じます」と本人も90分間、賢く戦えるようになってきたという実感を得ている様子だ。
6月のエルサルバドル・ペルー2連戦には代表選出されなかったものの、森保監督も「ラージグループには入っているし、ずっと見続けている選手の1人」と明言した。この調子で成長を続けていけば、近い将来の代表入りも大いにあり得そうだ。
遠藤航、守田英正らがひしめく代表ボランチ陣は激戦。だが、かつての稲本潤一を彷彿させるスケール感のある男が日本代表で生き残るチャンスは十分にある。浦和のダイナモ・伊藤がどのような軌跡をたどるのか。興味深く見守りたい。
(取材・文:元川悦子)
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