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Jリーグ 1年前

“賢く戦える”浦和レッズ伊藤敦樹の進化とは?稲本潤一を彷彿とさせる存在感と成長【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

失点シーンを振り返る伊藤敦樹



 先制点を奪ったのは広島だった。後半開始からわずか5分、野津田の鋭いパスを、交代出場したばかりのドウグラス・ヴィエイラがフリック。川村がインサイドで反応し、ドリブルで一気にゴール前へ侵入し、酒井宏樹をかわして右足で強烈なシュートを放った。これをGK西川周作が弾いたところに詰めたのが森島。彼らは待望の1点を挙げることに成功したのだ。

 期待の川村に推進力を発揮される形になった伊藤は「彼は日本代表に選ばれましたし、自分と似ているタイプだと思うので、そこは少し意識してました。失点シーンは川村選手の方が出足が速くて、自分のところで裏を取られて失点してしまった。あれは反省点だと思います」と悔やんでいた。

 それを取り返すためにも、得点に絡む仕事をしなければならない。そこからの背番号3はアグレッシブな姿勢を押し出していく。67分にスコルジャ監督が興梠慎三、ブライアン・リンセン、大久保智明の3枚を投入したことも、浦和の攻撃力をグッと引き上げる大きな要素となった。

 広島のミヒャエル・スキッベ監督が「60分、65分までは素晴らしいサッカーをしていたが、最後の30分、浦和が圧をかけてきて苦しくなった」と語ったようにまさに浦和が一方的に攻め込む形に。そして72分、ペナルティエリア右外付近でのドリブルで広島守備陣を下げさせた関根が中央に位置していた伊藤にパス。彼は右からゴール前に侵入した酒井の動きを見逃さず、スルーパスを供給。次の瞬間、同点弾が生まれた。非常にいい時間帯の得点で浦和は勢いづいた。

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