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再編必至のブライトンはやるべきことが多すぎる。三笘薫不在で露呈した弱点とは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

ブライトンが抱える人員的な課題



 試合終了後にマクアリスターが涙ながらにブライトンの選手やサポーターに別れの挨拶をするシーンは印象的だったが、デ・ゼルビ監督率いるチームは来季ELに出場するにも関わらず、大幅なメンバー変更をしなければならない状況にある。

 この試合終了後にもデ・ゼルビ監督は「カイセドとマクアリスターはこの試合がブライトンでのラストゲームになる可能性がある」と語るなど、中盤の要である2選手の退団が確実視されている。

 加えてこの試合で先発フル出場したレヴィ・コルウィルは今季チェルシーからローン移籍で加入中の選手であり、買い取りオプションもないため今夏のチェルシー復帰が濃厚。今季中盤戦まで正GKを務めていたロベルト・サンチェスも控えに降格したことで、ベンチ入りを拒否している。そのため今夏の退団が確実視されている。

 すでに今季の主力選手だった4選手の退団が濃厚で、来季に向けて、まずはこの穴を埋めなければいけない。しかし、彼らのクオリティを保つ選手を新たにスカッドに加えることは容易なことではないだろう。

 また今節のスタメンでも露呈したように、左SBと左WGの控えがチームに一人もいないことも問題である。三笘とエストゥピニャンがベンチスタートだった今節は、本職がトップ下のフリオ・エンシソが左WG、本職が中盤のパスカル・グロスが左SBに入った。怪我人関係なしに今のブライトンには三笘とエストゥピニャンの明確な控えがおらず、本職が左SBと左WGの選手は彼らしかいない。これはソリー・マーチがスタメンを務める右WGも同様だ。

 先述した通り、ブライトンは選手によってサッカーを変えるのではなく、どのチーム相手でも同じビルドアップの方法で戦う。そのため強さを維持するためにはクオリティを保ちながら選手層を厚くしなければいけないのだが、マクアリスターら主力級の選手の相次ぐ退団も相まって、このミッションを遂行するハードルはかなり高いものとなっている。

 そしてブライトンは22年2月にマクアリスターやカイセド、三笘らの獲得に関わったダン・アシュワースSD(スポーツ・ディレクター/スカウト含む人事責任者)がニューカッスルに引き抜かれている。現在はデヴィッド・ウィアーがTD(テクニカル・ディレクター/スカウト責任者)が後任を務めているが、あくまでも内部昇格に過ぎず、アシュワースの明確な後釜はいない。

 これが移籍市場でどれほどの影響が出るのかはわかりかねるが、今夏にブライトンは退団した選手の穴埋めや選手層が薄いポジションへの補強など、あまりにやらなければいけないことが多い。もう一度、土台から作り直す勢いでチームの再編が必要となるかもしれない。オフシーズンもブライトンは大忙しだ。

(文:安洋一郎)

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