ブライトンの戦術的な弱点
ブライトンのデ・ゼルビ監督はどのチーム相手でも徹底して同じようなビルドアップからゴールを狙う。
その形とはいわゆる「疑似カウンター」と呼ばれる戦術である。センターバック2枚を残し、やや押し上げた位置でサイドバックを内側に絞らせて、ボランチ含めたパス交換で相手を引きずり込んでから、一気にスイッチを入れて攻め込む。
後ろを何枚にしてボールを回すかなど、多少の違いがあるとはいえ、どの相手でも基本的なやり方は同じ。若手主体だった今節も同様の形で最終ラインから組み立てた。しかし、プレス回避能力の高いカイセドや、縦パスを差し込むことが得意なダンクが不在だったことでその質は落ちており、不用意なミスはベストメンバー時と比較すると増えていた。
一方のアストン・ヴィラはこのブライトンのビルドアップに対して、運動量豊富で攻守に闘えるジョン・マッギンを守備時は4-4-2のツートップの一角として起用。ウナイ・エメリ監督はこのスコットランド代表MFに前からプレスにいかせることで、ブライトンのミスを誘うという明確な狙いを持っていた。
26分に生まれたアストン・ヴィラの2点目はまさにエメリ監督が狙っていた形だ。アレクシス・マクアリスターからマッギンがボールを奪うと、少ないタッチ数でゴール前に進入。ブライトンは被カウンターのリスクを取っていない布陣でボールを回しているため、ボールを奪われてからは一気に数的不利に陥り、簡単にゴールを決められてしまった。
強みでもありながら、時には弱点にもなるブライトンのビルドアップの隙を狙ったエメリ率いるアストン・ヴィラが一枚上手だった。