こうしたテン・ハフ監督の戦い方には欠かせないキープレーヤーがいる。それがカゼミーロだ。レアル・マドリードで勝つ術を知り尽くしたベテランは、マンUにおいても存在感抜群で、今日も攻守で光っていた。
一番貢献度が高い部分はやはりボール奪取だ。ボールを奪うチャンスがあれば、ピッチのいたるところで激しくボールホルダーに圧をかけ、高確率で奪うか、もしくは相手の攻撃を遅らせる。今日もその強度は抜群で、立ち上がりのハイプレス時は狙いを定めたタックルで即時奪回に貢献した。
またブロックを敷いた際には、中央でライン間に侵入してくる相手を潰し、その他にも、CBが出ていったスペースのカバーや、クロス対応などの仕事もこなし、守備ブロックの強度を保証した。今日の試合も含め、相手にボールを持たれてもそう簡単に失点を許さないのはカゼミーロの存在が非常に大きい。こうした幅広い守備面での貢献により、カゼミーロはテン・ハフ監督の守備構築の核を担っている。
さらにカゼミーロは攻撃面でも輝いていた。セットプレーではターゲットの1人として得点源になり、今日も先制点を挙げた。また、オープンプレーの中では機を見て積極的に攻撃参加をする。2点目のシーンでは、アシストをしたジェイドン・サンチョにノールックで華麗なスルーパスを供給した。
カゼミーロは自陣からのビルドアップでの貢献度に課題があるが、その弱点はエリクセンのサポートを受けることで隠し、その分、長短問わず質の高いキックや、タイミングの良い攻め上がりという長所を活かして、攻撃に貢献している。
来季以降チームがよりポゼッションを重視していった場合に、カゼミーロがアンカーとして最適なのかには疑問が残るが、少なくともテン・ハフ監督1年目の今季のマンUを語る上では、カゼミーロの存在が最も大きかっただろう。