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なぜ三笘薫は最低評価なのか? マンC戦で封じられた中で見せたプレーの幅【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

持ち味を消された中でもみせた工夫


 先述した通り、三笘は決定力不足とドリブルが封じられるという苦しい状況であったことは確かだが、試合から消えていたわけではない。

 ドリブルでウォーカーを抜くことが難しいと判断した日本代表FWは、パスでいつも以上に周りの選手を使った。その代表例が44分の場面だろう。本来であれば縦に仕掛けて深い位置を取りに行く場面で、三笘は相手のハイラインの裏を突いて、スペースに抜け出していたウェルベックへとスルーパス。元イングランド代表FWは絶妙なシュートでネットを揺らしたが、オフサイドの判定に。もう少しタイミングが合っていればゴールという紙一重のシーンだった。

 前半終了間際の45+3分にも三笘はウォーカー相手にドリブルで抜くのではなく、その背後に抜け出したフリオ・エンシソへとスルーパス。ウェルベックのシュートを演出している。

 このように三笘はドリブルの選択肢が封じられた中でも、自身を囮に使うという工夫を凝らすことで相手を攻略しようとプレースタイルを変えていた。

 また守備の意識も強く、9分にはイルカイ・ギュンドアンからプレスバックをしてボールを奪い、ショートカウンターの起点となった。この試合を通じて三笘はタックル数、インターセプト数はともにチーム2位の2回であり、前線からの守備でチャンスを作っている。

 長所を消されても他のプレーで補う。ドリブラーでありながら、プレーの選択肢が多いことがこの日本代表FWの長所と言えるだろう。確かにゴールとアシストはなく、決定機逸やボールを奪われるシーンもあったが、強敵相手にさまざまな策を持って挑めた試合であり、ワーストというレーティングは全く悲観する必要はない。

(文:安洋一郎)

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