研究されていたからこそ生まれた久保建英のゴラッソ
前半アディショナルタイム、右サイドでボールを受けた久保は、細かなタッチを使いながらカットイン。そして最後は左足で強烈なシュートを放ち、ボールをゴール左上に突き刺した。試合後に本人も話していたが、まるで元オランダ代表のレジェンド、アリエン・ロッベンを彷彿とさせるような世界クラスの一撃だったと言っていいだろう。
GKが一歩も動くことができなかったシュートは言わずもがな、そこに至るまでがパーフェクトだった。久保は、しっかりと布石を打っていたのだ。
25分、右サイドでブライス・メンデスからのパスを受けた久保は、やはり細かなタッチを使いながらカットイン。一度ボールを晒したところですぐに左足を振り抜き、ニアサイドにシュートを飛ばしている。
このシーンに限らず、久保は中に切り込み、ニアサイドに強いシュートを飛ばすことが多い。相手GKからするとDFがブラインドになりやすく、ボールへの反応が難しくなるため、効果的であることは確かだ。
アルメリア守備陣は、それを警戒していただろう。上記したゴールシーンで久保に付いていたサミュ・コスタは、久保が一度ボールを晒した瞬間にスライディングをみせた。25分のシーンと同じようなニアへのシュートを確信していたからこその対応と言っていいだろう。また、GKフェルナンド・マルティネスも、DFと同じくややニアを切るポジショニングをとっていた。
しかし、久保はニアへのシュートを選択せず、冷静にファーサイドにシュートを飛ばしている。ある程度コースなどは想定していたかもしれないが、DFを滑らせたシュートキャンセルの冷静さは見事という他ない。相手の“研究”を完璧に上回った瞬間だった。