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Jリーグ 2年前

清水エスパルスは“ブースト”の燃料切れか、7年前の再現か。熱血監督が追求する最適解【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

清水エスパルスが乗った上昇気流



 清水を通じて発表された新指揮官のコメントには、水戸時代の立ち居振る舞いや劇的な勝利をあげた試合後に「This is, this is, this is football――」などと切り出したインタビューの数々が、いつしか「Jリーグで一番熱い監督」と呼ばれるようになった理由が反映されていた。

「現在クラブはかつてない状況に陥っています。この窮地を乗り越えるためにはエスパルスを愛するすべてのみなさんの力を集結し、より深い絆を築き合い、同じ方向を向いてこの困難を乗り越えていく必要があります。オリジナル10のエスパルスだからこそ達成可能であると確信していますし、そのためにみなさんの力を貸してください。最後にみんなで笑い合えるシーズンにしましょう」

 水戸時代は勝利と成長とを両立させると選手たちに約束し、さらに喜怒哀楽を解き放ってほしいと求めた。清水のヘッドコーチ就任時も「熱すぎる男こと秋葉忠宏です」と自己紹介している。指導者として大事にするフィロソフィーは、清水での肩書きを監督に変えても貫かれている。

 例えば試合終了間際の決勝ゴールで東京ヴェルディを撃破し、8試合目にしてリーグ戦初勝利をあげた4月8日。本拠地IAIスタジアム日本平のロッカールームで、かすれた声で「素晴らしいぜ!」と選手たちを称賛した秋葉監督の姿は、変わらぬ熱さとともに大きな共感を呼んだ。

 昨シーズンからチーム内でくすぶっていた停滞感が、新指揮官が放つ熱さを介して吹き飛ばされたからか。ヴェルディ戦以降の清水は8試合連続無敗(6勝2分け)と鮮やかにV字回復。その間の総得点が29、総失点が4とまさに無双状態で上位戦線に食い込もうとしていた。

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