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久保建英 2年前

バルセロナを苦しめた久保建英の頭脳。決して記録には残らない細部の判断とは【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

約30分でも久保建英は輝く



 先述の通り、久保はこの試合でベンチスタートとなった。戦術的な理由ではなく、この3日後に迎えるアルメリア戦に向けての温存といったところだろう。

 その久保に出番が訪れたのは58分。アリ・ショーに代わり、ピッチに入った。

 アルグアシル監督は、久保と同時にDFのアンドニ・ゴロサベルも投入。前の枚数を減らし、守備時5バックで1点リードの守りに入ったのだ。そのため、オフェンスの久保にとっては持ち味を発揮するのが難しい、そんな展開だった。

 それでも、久保は限られた時間でバルセロナに恐怖を与えた。まずは66分、久保は力強いドリブルでジョルディ・アルバのファウルを誘発し、ペナルティーエリア右角手前でフリーキックを獲得。自らキッカーを務めると、ファーサイドのセルロートにピンポイントでボールを送り、決定機を演出した。

 そして72分には、貴重な追加点に関与。久保はマルティン・スビメンディからパスを受け自陣→敵陣までドリブル。その後スビメンディにリターンし、そこからセルロートにつながって得点が生まれた。

 このゴールシーンでは久保の頭の良さが出ていた。

 久保がボールを持った際、セルロートとアンドレアス・クリステンセンは1対1の状況であり、背後にボールを流し込めば一気にゴールに向かえる可能性もあった。しかし、久保はボールから逃げる動きをみせていたセルロートに素直にパスを出さず、あえてスピードを落とし、スビメンディの上がりを待った。それによってセルロートをマークしているはずだったクリステンセンの目線と体がボールに向き、セルロートがフリーに。そのタイミングで久保がスビメンディにボールを預けたため、スビメンディ→セルロート→ゴールとスムーズな形が生まれたのだ。

 その後は守備の時間がほとんどだったが、出場約30分でキーパス2本、ビッグチャンスクリエイト1回、ドリブル成功数100%(1/1)、そして2点目に関与は十分すぎる結果だろう(スタッツはデータサイト『Sofa Score』を参照)。次節以降のプレーがますます楽しみだ。

(文:小澤祐作)

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