ペップの完璧なリスクマネジメント
シティのようなボール保持型のチームが最も恐れるのがカウンターだ。レアル・マドリードはこのカウンターが得意なチームだが、ジョゼップ・グアルディオラ率いるチームはその起点を徹底的に封じた。
仮に前線でボールを失ったとしても、次の瞬間に相手選手に対してプレスをかけ、最終ラインを上げることでスペースを消すなど即時奪還を徹底。カウンターの起点となるヴィニシウスに対してはウォーカーが徹底マークで仕事をさせず、カリム・ベンゼマはボールロストを連発するなど精彩を欠いた。
グアルディオラ監督はカウンターを受けないようにするための前線からの守備の形やウォーカーのヴィニシウスへのマンマークなど、リスクマネジメントを徹底していた。
最終ラインにウォーカー、ストーンズ、ルベン・ディアス、マヌエル・アカンジの4人のDFを並べるのもそうだ。昨季まではSBにジョアン・カンセロを起用していたが、自由奔放だった彼に代わって、守備を得意とする選手を4人最終ラインに起用することで、失点のリスクを軽減している。
思い返せば、1stレグでもグアルディオラ監督はリスクを取らなかった。後半にデ・ブライネのゴールで追いつくと、そこから無理に攻撃を仕掛けることなく、1-1で試合をクローズしにかかった。最後まで交代カードを切らずに、守備のバランスを変えなかったのも失点のリスクを抑えるためだ。
こうした指揮官の徹底したリスクを犯さないマネジメントが、レアル・マドリード相手の大勝の要因となっている。攻守に穴のない彼らを止められるチームは世界中にないのではないだろうか。
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