光ったデ・ゼルビの修正力
この試合で三笘薫は本来の左WGではなく、右WGでの先発起用だった。前節までプレミアリーグ全試合に出場していたソリー・マーチが負傷してしまったことによる抜擢である。
しかし、アーセナルの左サイドへと誘い込む強度の高いプレスを前に、三笘のいる右サイドへとボールが渡る機会はほぼなく、一度もドリブルで前に仕掛けることができないまま35分を迎えた。
このタイミングで指揮官ロベルト・デ・ゼルビは右WGの三笘と左WGのフリオ・エンシソの位置を入れ替えることを決断。すると、日本代表FWはそのファーストプレーでいきなりベン・ホワイトの逆を突くドリブルでボックス内へと進入してチャンスを演出した。
結果的にサイドを入れ替えたことが51分の先制点にも繋がっており、三笘とペルビス・エストゥピニャンの連係からゴールが生まれている。
デ・ゼルビの修正力が光ったのはこれだけではない。60分にビリー・ギルモアを下げてダニー・ウェルベックを投入したこともブライトンの追い風となった。
この時点でブライトンは1-0のリードを得ているため、一般的にはMFの数を減らしてFWを増やすことは考えづらいが、ギルモアがアーセナルの強度の高いプレスに苦戦していることを踏まえての決断だった。プレス強度の高いアレクスシ・マクアリスターをギルモアのポジションに下げて、ウェルベックをセカンドトップ気味に起用した。
ウェルベックを前線に投入したことで、ブライトンはアーセナルの後ろ4枚で回すビルドアップに対して4-4-2のブロックを組み、よりプレスをハメやすい形へと守備の陣形を修正した。ブライトンの2点目はアーセナルのビルドアップのミスから生まれたものであり、3点目はウェルベックを起点としたものと、この交代策がピタリとハマった。