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最悪のミラノダービー。ミランはなぜ完敗したのか。無視できない数々の問題【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

インテルに消されたミランの強み



「僕らはすぐに2点を失った。そうなると、インテルのようなチームに対しては挽回するのが難しい」と試合後にフィカヨ・トモリがコメントしているように、やはりこの試合の勝敗は、前半の内容で決まったと言っても過言ではない。

 CL準々決勝のナポリ戦がそうだったように、ミランの強みはラファエル・レオンやテオ・エルナンデスのスピードと突破力を生かしたカウンターにある。ボールを握りながらゲームをコントロールする上手さを持ち合わせているとは言い難いだろう。ピオーリ監督も過去に「そのスタッツには興味がない」と今のミランでポゼッションを重視していない発言をしている。

 しかし、この試合ではインテルが早々に先制ゴールを奪い、よりしっかりとしたブロックを築いたことで、ミランはボールを“持たされて”しまった。当然ながらピオーリ監督のプラン通りといった展開ではなく、立ち位置など全てが曖昧なミランはただパスを回しているだけの状態が続く。その結果、苦し紛れにサンドロ・トナーリやブラヒム・ディアスが単騎で仕掛けたところを奪われ、中盤と最終ラインが間延びした危ない状態でカウンターを受けることが目立った。

 11分に与えた追加点も、中盤でボールを失ったところからのカウンターがキッカケだった。前に出ていたトナーリが戻りきれず、センターバックも動かされたことでインテルにとって有効なスペースを作ってしまい、ムヒタリアンにボックス内フリーの状態でシュートを打たれている。

 こうした状況を個で打開できるのがレオンという存在なのだが、残念ながらこの日は欠場。代役を務めたアレクシス・サレマーカーズは好調だが、やはりレオンに比べると突破力は劣る。インテルのブロックを前にT・エルナンデスも普段のような攻撃力を発揮できないなど、どこから崩していくのかがチームとして明確になっていないまま、時間だけが過ぎていった。

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