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レアル・マドリードの誤算とは? なぜマンCは敵地で主導権を握れたのか【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

即興のプレス回避から生まれた先制点



 この試合のレアル・マドリードは先述した通り、35分間まで1本のシュートも放つことができなかった。自陣深い位置でボールを奪ったとしても、即時奪還ですぐに圧力をかけてくるマンチェスター・シティの前線からの守備を前にセーフティなクリアを選択。敵陣内でボールを奪ったとしても、相手CBのクリアに阻まれるなど、フィニッシュに持ち込むことすら難しい状況が続いた。

 そんな状況でもレアル・マドリードは先制に成功した。テクニカルエリアの前でスローインを得ると、カルロ・アンチェロッティ監督はダニエル・カルバハルに対してGKまでボールを戻すことを支持。GKクルトワまでボールが渡ると、ここから“即興”のプレス回避が始まる。左SBのエドゥアルド・カマヴィンガにボールが渡ると、近づいてきたルカ・モドリッチとのワンツーでプレスを回避。ドリブルで一気に前進を図った。

 このプレス回避で一気に相手陣内に攻め込むと、ヴィニシウスが豪快なミドルシュートで仕上げた。このシュートのゴール期待値はわずか「0.04」。この低確率で決まったゴラッソは、これまで何度も奇跡を起こしてきたベルナベウだからこそ生まれたものと言えるだろう。

 このゴールはホームで圧倒的な強さを誇るマドリーからすると、喉から手が出るほど欲しかった先制点だった。マンチェスター・シティがゴールを奪うためより前掛かりとなれば、得意のカウンターのチャンスも増えるからだ。

 しかし、結果としてレアル・マドリードはこのハンデを生かすことができなかった。

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