良くも悪くもブライトンの強みはハッキリしている
この試合の勝敗は、やはり前半で決まったと言える。いくら残留争いに苦しむエバートン相手とはいえ、最初の45分間だけで3失点もしてしまえば、勝利の可能性は薄れる。
ブライトンが前半で喫した3失点は、すべてカウンターによるものだった。ロベルト・デ・ゼルビ監督率いるチームは、センターバック2枚を残し、やや押し上げた位置でサイドバックを内側に絞らせるなど、特殊なビルドアップの形をとる。その分、カウンター時のCBにかかる負担は大きく、あっという間に深い位置まで運ばれ、自陣ボックス内で数的同数、あるいは数的不利に陥ってしまったのだ。3失点を振り返ってみても、ボックス内にかける人数は明らかに足りていなかった。
しかし、問題はカウンター時のリスクを整理できなかったことよりも、そもそもカウンターの機会を何度も与えてしまった攻撃面にあるだろう。
ブライトンの強みは、相手を引きずり込んだところから一気に敵陣まで進んでいく“擬似カウンター”にある。そのため、果敢に前へ出てくる強豪相手との相性がよく、今季はマンチェスター・ユナイテッドやチェルシー、リバプールを葬ってきた。
ところが、エバートンのように深追いせず、自陣でブロックを敷いてくるチームとの相性は最悪。疑似カウンター以外のアイデアが乏しいため、敵陣でなんとなくボールを動かし、最後は可能性の低いクロスに頼る場面が散見された。そうした曖昧な攻撃を繰り返していくうちに、ミスが起きてカウンターを喰らいまくったのだ。
デ・ゼルビ監督が目指すサッカーはここまで変わっていない。成熟度という意味ではポジティブだが、日程が厳しく主力選手に疲労の色が出始めている現在は、それが弱みになりつつある。クオリティーが下がるばかりで、他のオプションを持っていないからだ。1-3で敗れた第33節ノッティンガム・フォレスト戦と今回のエバートン戦でやられ方がほぼ変わっていないのが、その何よりの証拠と言える。