大成功だったアルテタ監督の守備での修正
ジョルジーニョの先発起用はキヴィオル以外の選手にもメリットをもたらした。
この試合で先発起用されていたオレクサンドル・ジンチェンコだが、ジョルジーニョが中盤でサポートなしでボールをさばけること、そしてニューカッスルのインサイドハーフのプレス強度が高いことの影響なのか、偽サイドバックとして中盤に入る割合がそこまで高くなかった。
その一方で後半開始直後にみられたニューカッスルのポスト直撃シュートの場面のように、ジンチェンコのサイドからドリブルで仕掛けられて決定機を作られる場面が目立つなど、守備面での不安要素の方が多かった。
このことからも今節に限ってはジンチェンコを起用するメリットがないことは明らかだった。そのためか、アルテタ監督はいつも以上に早い61分にウクライナ代表DFを下げてキーラン・ティアニーを投入した。
それまでアーセナルは左サイドからピンチを招いていたが、それがスコットランド代表DFの投入によって大幅に減少。71分の追加点のきっかけとなったのもティアニーのインターセプトからであり、攻守にわたっての貢献度が高かった。
ティアニーが本来のパフォーマンスを発揮できたのは、中盤へのサポートが必要のないジョルジーニョがアンカーに君臨していたからだ。彼とティアニーの併用という形が、今節のクリーンシートでの勝利を手繰り寄せたと言っても過言ではない。勝てなかった時の後手に回っていた采配とは異なり、アルテタ監督の守備での修正が光った試合となった。
この勝利でアーセナルは19シーズンぶりのプレミアリーグ制覇に望みを繋いでいる。自力優勝は不可能と、依然として厳しい戦いが続くが、再びチームが上昇気流に乗ってきたのは間違いなくポジティブな現象と言えるだろう。
(文:安洋一郎)