浦和レッズは最も「飢えている」
年をまたいで開催されたACLは、浦和の大団円で終幕を迎えた。しかし、浦和の今シーズンはまだ序盤戦を終えたばかり。第2節を終えた時点でJ1の最下位にあえいでいた浦和はそのV字回復をへて、首位のヴィッセル神戸と勝ち点9ポイント差の8位にまで順位を上げている。
しかもACL決勝と重複した関係で、浦和は本来ならばゴールデンウイークに行われるはずだった3試合分が未消化になっている。今後に延期される分だけ過密日程が待つ。それでも、さらに上位へ食い込める可能性があるからこそ、興梠は次なる目標を明確に設定している。
「ACLを(個人で)2度取ったのも記録に残りますけど、ACLを取ったその年にJリーグを制したチームはまだないので、そこを目指していきたいと思います。いまの浦和レッズは最もそこに、Jリーグタイトルに飢えているんじゃないかなと思います」
浦和の歴史を振り返れば、日本勢として初めてACLを制した2007シーズンは終盤の失速が響いて2位でJ1連覇を逃した。夏場にペトロヴィッチ監督を解任した2017シーズンは、堀孝史監督のもとで2度目のアジア制覇を達成したものの、J1リーグでは7位にとどまっている。
何よりも浦和そのものが、2006シーズンの初優勝を最後にJ1制覇から遠ざかっている。そして、今シーズンの所属選手でJ1優勝を経験しているのは、サンフレッチェ広島で2度制覇した西川と、鹿島アントラーズで前人未踏の3連覇に貢献した興梠だけとなっている。
J1歴代5位の通算563試合出場を誇る守護神と、抱いていた悔恨と感謝の思いのうち前者を歓喜に変えた異能のストライカー。特に心技体で良好なコンディションをキープし、最前線で絶対的な存在感を放つ興梠の先発定着から右肩上がりの逆襲に転じた浦和は、2ndレグの激闘から中3日の10日に再び埼玉スタジアムで、未消化となっていたサガン鳥栖との第10節に臨む。
(取材・文:藤江直人)
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