ポスト直撃のボレー。なぜ右足で合わせたのか?
「今日は前線から慎三が何度も追ってくれた。頑張ってくれる姿勢を見ると、後ろにいる選手たちも勇気づけられた。逆に自分がしっかり守ればという思いが強くなりましたね」
72分にFWホセ・カンテと交代するまで、前線でハードワークを厭わなかっただけではない。30分にはJ1リーグ戦で大久保嘉人に次ぐ歴代2位、現役では1位となる通算165ゴールをあげている嗅覚と技術、猫科の獣をほうふつとさせる身体能力を融合させたプレーを繰り出している。
敵陣の右サイド、深い位置で得たスローイン。ボールを預けたMF伊藤敦樹からリターンをもらったキャプテンのDF酒井宏樹が、猛然とペナルティーエリア内へ侵入した直後だった。
すかさず放った高速クロスに、猛然と飛び込んできたのは興梠。宙を舞いながら右足を伸ばし、アウトサイドに合わせたボレーはしかし、無情にもゴールバーに弾かれてしまう。一連のプレーの間、アル・ヒラルの守護神アブドゥラー・アルマユーフは金縛りにあったように一歩も動けなかった。
「いやぁ、あれは決めたかったですね。でも、ボールをミートしすぎました」
とっさに描いたゴールへの青写真と、ほんのわずかながらズレがあったと興梠は明かした。その上で右からのクロスに右足、それもアウトサイドを合わせる離れ業の意味をこう説明している。
「(左足だと)あれは上に行っちゃいます。(クロスが)高かったのでヘディングもできなかったし、右足のアウトで下に叩きつけることしか考えていなかったんですけど。うまくダフってくれれば下に行っていたはずが、かなりミートしちゃったので上に行っちゃいましたね」
両チームともに無得点の均衡を破った、48分のオウンゴールにも興梠が関わっていた。