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久保建英 2年前

久保建英が「僕にはできない」と言うシルバのプレー。レアル戦で見せた最高の輝き【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

スタジアムを沸かせた久保建英の頭脳



 47分、GKティボー・クルトワからエデル・ミリトンにパスが出ると、セルロートがギアを上げてプレッシャーをかける。これで慌てたミリトンがクルトワへのリターンパスをミスしたことで久保建英の元にボールが渡り、同選手が難なくゴールへと押し込んだ。

 久保ははじめ、アントニオ・リュディガーのマークに付いていたが、ミリトンがセルロートのプレスを受けて後ろ向きにボールを持った瞬間、クルトワへと守備の矢印を変えている。もし久保がリュディガーに付いたままだったなら、恐らくミリトンのパスミスは先にクルトワが処理していただろう。セルロートのプレスも見事だったが、久保の頭の良さと守備意識の高さが呼び込んだ先制ゴールだったと言える。

 一瞬にしてレアレ・アレーナのヒーローとなった久保は、このシーン以外であまりチャンスに絡めなかった。対峙したナチョ・フェルナンデスは間合いの取り方がうまく、ドリブル突破もこれまでに比べ影を潜めていた。

 しかし、久保も頭が悪い選手ではない。ナチョに対し仕掛け続けるだけでなく、あえてテンポを落とし、相手を引き付けたところで味方を生かすなど、今の自分に何ができるか考えてプレーしていた印象を受ける。ゴールを奪ったことを含め、古巣マドリーに大きく成長した姿を見せることができたと言っていいはずだ。

 ただ、ゴールこそ奪ったが、この日の主役は間違いなくあの選手だった。

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