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明治安田生命J1リーグは、一部のチームを除き10節を消化した。ここまでのデータを基に、各チームを「1枚の絵」に表すことで、置かれている現状が浮かび上がってくる。連載「Jの十字架」では“異端のアナリスト”庄司悟が「十字架」を用いて分析する。(文:庄司悟)
優等生の浦和レッズと横浜F・マリノス
図1はJ1第10節終了時点の十字架(縦軸=パス成功数×横軸=ボール支配率)だ。右上のいわゆる「優等生領域」には、1ケタ順位は横浜F・マリノス(4位)と浦和レッズ(5位)しかいない。それ以外の5チームはいずれも2ケタ順位となっている。
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一方で左下のいわゆる「非優等生領域」には、ヴィッセル神戸(1位)と名古屋グランパス(3位)が鎮座している。その2チームを7チームが惑星のように取り囲み、サンフレッチェ広島(4位)とFC東京(6位)のみ右下の「欄外」という配置となった。10節を終えたところで、ある程度の方向性が見えてきたといっていいだろう。
では、これを縦軸=失点率×横軸=ボール支配率の十字架(図2)に変えてみると……。上位5チームがいずれも上半分に顔を出していることがわかる。そう、図1とは一転して「奇妙な同居人」が一気に姿を消す。また「当然だろ」と言われそうだが、ボール支配率の高低とは無関係に、失点率の高低がそのまま順位につながっているというわけだ。
さらに、失点率のふるいにかけると、下半分に顔を出しているチームの明確な現状が浮かび上がってくる。右下のチームはボール支配率を選択し、勝ち点を失っており、左下のチームはボール支配率を無視し、勝ち点を失っている。さて、この当たり前の現状をどのように捉えるのか。指揮官または上層部の視座が試されている。
(文:庄司悟)
庄司悟(しょうじ・さとる)
1952年1月20日生まれ、東京都出身。1974年の西ドイツ・ワールドカップを現地で観戦し1975年に渡独。ケルン体育大学サッカー専門科を経て、ドイツのデータ配信会社『IMPIRE』(現『Sportec Solutions』。ブンデスリーガの公式データ、VARを担当)と提携し、ゴールラインテクノロジー、トラッキングシステム、GPSをもとに分析活動を開始。著書に『サッカーは「システム」では勝てない データがもたらす新戦略時代』(ベスト新書)、『現代フットボールの主旋律 ピッチ上のカオスを「一枚の絵」で表す』(カンゼン)。
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