三笘薫がピッチに登場してからすぐに活躍できたワケ
この試合でベンチスタートとなっていた三笘薫は5-0で迎えた56分に登場した。すると立て続けに対峙した相手選手をドリブルではがしてボックス内へと進入するなど存在感をみせている。
いとも簡単に三笘が突破できた理由は彼に対するダブルチームでの守備など対策がなかったこと、そして対峙した相手選手が本来は中盤の選手であるマテウス・ヌニェスだったことにある。
この試合でウルブスの右SBのスタメンに名を連ねたのはネウソン・セメドだったが、同選手は前半終了間際に負傷交代。ウルブスには彼以外の右SBがおらず、3バックに変更した後半からはヌニェスが右ウイングバックとして出場していた。
本来はサイドでの守備をあまり行わないヌニェスにとって、プレミアリーグでも随一の突破力を誇る三笘相手の守備は難しい。日本代表FWは逆を突くドリブルで何度も左サイドからチャンスを作った。
今節、ターンオーバーをした中でも6-0の大勝を収めたブライトンだが、これで直近数試合の不安が完全に払拭できたとは言い難い。ウルブス戦は同クラブがブライトン対策を完全に誤ったため余裕の展開となったが、前節の対戦相手であるノッティンガム・フォレストのように、中央を封じられてしまうと、自分たちがやりたいビルドアップができなくなり、逆にミスから失点をするケースもある。
とはいえ、控え組でも十分に戦えることを証明できたのは、今後に向けては好材料だろう。3つの未消化試合を残しているブライトンは慣れない週2試合が続くため、大一番をフルメンバーで戦うためにも、何試合かに1度はターンオーバーして主力のリフレッシュが必要となる。
来週にはマンチェスター・ユナイテッド、その約1週間後にはアーセナル、そして最終節の直前にマンチェスター・シティ、最終節には2部時代にリーグ優勝を阻止され、大の苦手としているアストン・ヴィラとの対戦が控えている。難敵かつ欧州カップ戦を争う相手と戦う上で、今節のようなターンオーバーをどこで行うかが、ブライトンの最終順位の行方を占いそうだ。
(文:安洋一郎)