相手の対策を上回れなかったデ・ゼルビサッカー
ロベルト・デ・ゼルビ監督率いるブライトンのビルドアップは、かなりリスキーだ。基本的には、あえて相手のプレスを引き込んだところから組み立てていく。当然ながら奪われると一気にピンチとなるが、相手が前に出ている分、敵陣にはスペースがあり、縦にパスを差し込めれば高確率でシュートに持ち込むことができる。いわゆる“擬似カウンター”として、この戦術は知られている。
もう少し具体的に噛み砕いていくと、ブライトンはセンターバックの2人、あるいはGK含めた3人でゆっくりとボールを動かしながら相手を釣り出し、一度ボランチにパスを当ててさらに相手のムーブを引き起こすことで、トップ下やCFへのパスコースを作り出していく。これが全てではないが、基本的にはこの形を採用している。
これに対しフォレストは、守備時5-1-3-1のような形でブライトンのボランチ(モイセス・カイセドとアレクシス・マック・アリスター)をかなり警戒。その分サイドバックへのコースは空くが、とにかく中央を締めることに集中した。
ブライトンのこの対策を上回ることができず。むしろ、ハマってしまった。
68分、ルイス・ダンクからカイセドにパスが出るも、受け手側がしっかりと準備できておらず、狙っていたダニーロにカットされ、そのままショートカウンターを喰らって失点している。失点という目に見える結果に表れたのでこのシーンをピックアップしたが、それ以前にも似たようなピンチはあった。
3失点目は、コーナーキックの場面でダンクがハンド。これで与えたPKを沈められた格好だが、CKを与えたきっかけは、やはりボランチのところで失いカウンターを喰らったことだった。
このように、疲労の影響も相まって、ブライトンのビルドアップはうまくいっていなかった。明確な狙いを持っていたフォレストも称賛に値するが、似たような形から2点を失ってしまっては、勝てる試合も勝てないだろう。