前半から一転。ソシエダが押し込まれた理由は?
当然ながら、ベティスはペースを握られたまま90分間を過ごすわけにはいかない。ハーフタイムを終え、さっそくマヌエル・ペレグリーニ監督は動いた。ポストプレーに定評のあるボルハ・イグレシアスと縦への推進力に強みを持つルイス・エンリケを入れ、それまで右サイドだったセルヒオ・カナレスをトップ下、それまでトップ下だったウィリアム・カルバーリョをボランチに移している。
前半はソシエダのプレスを受け、苦し紛れのロングボールが目立っていたベティスだが、後半は前線の選手がハッキリとした狙いを持って相手の背後へ抜け出すことが増えた。とくに、CFのイグレシアスを囮にしてCBを釣り出し、それによって生まれるSBとのギャップを執拗に突いていた。ペレグリーニ監督が突破力のあるエンリケを右サイドに入れたのは、そうした理由もあるだろう。
また、配球力のあるW・カルバーリョがボランチに下がったことも良いアクセントに。同選手から質の高い前線へのパスが何度か出ている。
こうしてソシエダは、前半同様に前からハメにいくも、簡単に背後を突かれてピンチを迎えるようになった。アルグアシル監督は62分にアンデル・バレネチェア、シルバ、ミケル・メリーノを入れて流れの変化を起こそうとしたが、深い位置まで押し込まれてしまっては、彼らの良さも生きてこない。
73分には右SBにアリツ・エルストンドを入れ、ベティスの背後の狙いを封じようとしたが、エルストンドのゲームの入り方が良くなく、スペースを埋めるどころか、簡単に裏を突かれていた。このように、後半のアルグアシル監督の采配はことごとく後手に回り、結果としてベティスの決定力不足に助けられるような格好となってしまった。
ラ・リーガは残り7試合。ソシエダは、その中で上位3チームとの対戦を残している。来季のCL出場権に向け、他の4試合でどれだけ勝ち点3を奪えるかがカギとなるが、ベティス戦を見る限り、不安がないとは言い切れない。
(文:小澤祐作)