ティアニーの偽SB起用で発生した弊害
【写真:Getty Images】
1失点目はトーマスに対してライスがプレスを掛けたことが生まれているが、従来のようにジンチェンコがいれば、相手がトーマス一択でプレスをハメなかった可能性もある。
ティアニーがジャロッド・ボーウェンを見失ったことで決められてしまった2失点目の場面では、これはあくまでも想像でしかないが、頭を使う偽SBのプレーで集中力を失っていたのかもしれない。彼は本来このような難しい守備対応もこなせる選手だ。
またティアニーのところからプレスが剝がせないので、結果としてガブリエウ・ジェズスら前線の選手が通常時と比較すると中盤に下がってボールを引き出す動きが増えた。本来は高い位置でWGにボールを入れて仕掛けさせたかったが、今節はその回数がかなり少なかった。
結局アルテタ監督はティアニーのところを戦術的に修正することなく、足が攣った85分まで使い続けた。その後ジャカが左SBのポジションに入り、多くの攻撃的な選手をピッチに投入したが、残された時間はほとんどなかった。
そして2-2のスコアのまま試合終了の笛が鳴った。この試合で勝ち点2を失ったのはアルテタ監督の采配ミスと言って良いだろう。
これでアーセナルと1試合消化が少ない2位マンチェスター・シティとの勝ち点差は4に縮まった。昨季後半戦同様に怪我人の影響が結果に直結している悪い流れを、アーセナルは止めることができるのだろうか。19シーズンぶりのプレミアリーグ優勝に向けて暗雲が立ち込めている。