チェルシーとブライトンの決定的な違い
両チームの決定的な違いはチームの約束事である“戦術”があるかどうかだ。
ブライトンはロベルト・デ・ゼルビ監督の下で攻撃の形が整備された。GKを含む最終ラインの選手とボランチの選手が少ないタッチ数でボールを回し、これに相手が食いついてきたタイミングで、前線への縦パスやロングフィードで一気に前進する“疑似カウンター”から何度もチャンスを作りだしている。これはチームとしての約束事であり、多少のメンバーの変更があっても、再現性を持って攻撃ができている。これが三笘薫に常に仕掛けやすい位置でボールが入っている理由だ。
先日、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督が「ブライトンはビルドアップで世界最高のチームだ。GKからファイナルサードまでボールを運ぶプロセスで、彼らに勝てるチームはない」とブライトンを絶賛していた。
一方のランパード率いるチェルシーにこうした細かい戦術はない。そもそも就任からの短期間で戦術をチームに植え付けることは困難だ。
その結果、完全に選手の質に依存をしており、選手を替えることでしか流れを変えることができない。57分の4枚替えがそれを証明している。またチームとしての約束事がないため、選手たちの立ち位置やパスを出すタイミングが曖昧で、不用意にボールを失うことが多い。
両チームの明暗がはっきりと分かれたのがブライトンの得点シーンだ。