フットボールチャンネル

“約束事”はあるか?ブライトンの再現性とチェルシーの依存。明確だった両者の差【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

チェルシーとブライトンの決定的な違い



 両チームの決定的な違いはチームの約束事である“戦術”があるかどうかだ。

 ブライトンはロベルト・デ・ゼルビ監督の下で攻撃の形が整備された。GKを含む最終ラインの選手とボランチの選手が少ないタッチ数でボールを回し、これに相手が食いついてきたタイミングで、前線への縦パスやロングフィードで一気に前進する“疑似カウンター”から何度もチャンスを作りだしている。これはチームとしての約束事であり、多少のメンバーの変更があっても、再現性を持って攻撃ができている。これが三笘薫に常に仕掛けやすい位置でボールが入っている理由だ。

 先日、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督が「ブライトンはビルドアップで世界最高のチームだ。GKからファイナルサードまでボールを運ぶプロセスで、彼らに勝てるチームはない」とブライトンを絶賛していた。

 一方のランパード率いるチェルシーにこうした細かい戦術はない。そもそも就任からの短期間で戦術をチームに植え付けることは困難だ。

 その結果、完全に選手の質に依存をしており、選手を替えることでしか流れを変えることができない。57分の4枚替えがそれを証明している。またチームとしての約束事がないため、選手たちの立ち位置やパスを出すタイミングが曖昧で、不用意にボールを失うことが多い。

 両チームの明暗がはっきりと分かれたのがブライトンの得点シーンだ。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!