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中途半端だったチェルシー。レアル・マドリード相手に見誤ったランパードの策【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

中途半端なプレス



 この試合を難しくしてしまったのが開始5分の場面だ。チェルシーが相手陣内に攻め込んでパスで崩そうとしたところをカットされ、レアル・マドリードがカウンターをスタート。その際にチェルシーのCBウェズレイ・フォファナがヴィニシウス・ジュニオールをファウルで止めて、イエローカードが宣告された。

 圧倒的なスピードとスキルを兼ね備えるこのブラジル代表FWを止めることは、どのDFでも難しい。そんな相手に対してわずか5分でイエローカードを与えてしまったフォファナは、これ以降ヴィニシウスに対して後手を踏み続ける。

 そしてランパード監督の指示なのか、前半途中からチェルシーは最終ラインを上げ、前線からプレスを掛け始めた。マドリーの4-3-3とチェルシーの3-5-2という嚙み合わせ的にも、右WBのリース・ジェームズが左SBエドゥアルド・カマヴィンガに対してプレスに行くという構図が生まれている。

 しかし、マドリーの選手が苦戦するような強度が高いものではなく、中途半端なプレスだったため簡単に突破され、結果的にヴィニシウスとフォファナが1対1でマッチアップする機会が急増。フォファナは既にイエローカードを受けているため身体を寄せきれず、26分の場面のように簡単に突破されてチャンスを作られる機会が多かった。

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