鹿島アントラーズの隙と誤算
柏はそんな鹿島の隙を巧みに突いた。前半32分、植田が頭でクリアしたボールを拾った戸嶋祥郎が右から縦に上がっていくマテウス・サヴィオに展開。この瞬間、細谷真大が鋭い動き出しを見せ、昌子と植田の間に生まれたギャップに侵入。スルーパスを受けて右足を振り抜いたのだ。
これが見事にゴールに吸い込まれ、劣勢だった柏が待望の先制点を奪う。これは鹿島にとって大きな誤算だったに違いない。
「点が入るまではボールを保持できて、うまく試合を運べていたんですけど、1点取られてからバタバタして追いつけなかった」と安西幸輝が言うように、この失点は彼らにとって大きなダメージに他ならなかった。知念も「前半はみんなフワフワしていて、自分を含めてイージーなミスからカウンターを食らったりしていた」と悪循環が続いたと感じていた。
前半のうちに土居と荒木を代えるという策も講じたが、停滞感が拭えないまま45分間が終了。ボール支配率56対44%、シュート数5対2と数字上は鹿島が上回ったものの、岩政監督は感情的になるほど前半の出来に苦言を呈したという。
「僕はあまり選手を叱らないんですけど、ハーフタイムには喝を入れました。前半はかなりのらりくらりとした時間を過ごしてしまった。ボールをもらって探したり、後ろの動かし方が問題で、だんだんテンポが遅くなって、動き出しも遅れ、全体が遅くなったのが前半だった」と指揮官は試合後の会見で厳しい表情を浮かべた。その言葉通り、本当に鹿島らしい鋭さが影を潜めた前半だった。