フットボールチャンネル

なぜ三笘薫は抑えられたのか?トッテナムDFに完敗、抜群に上手かった駆け引き【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

三笘薫vsアルゼンチン代表DF



 この試合で三笘は大外のポジションではなく、その1レーン中のハーフスペース付近でボールを受けることが多かった。このポジションでマッチアップしたのが、3バックの右CBを務めるクリスティアン・ロメロだ。

 このアルゼンチン代表DFは対人戦の強さを生かして前に出て潰す守備を得意としている。基本的に守備時の矢印は前方向にあり、対峙した相手選手に対して鋭いタックルを浴びせてボールを奪う。この前に出る守備の精度はプレミアリーグでも随一だが、これは釣られやすい守備の方法でもあり、逆にロメロのところを突破できれば一気にビッグチャンスを作れる可能性がある。

 今節では三笘がロメロを出し抜けばブライトンにチャンスが生まれ、逆に成功しなければ苦戦するという構図だった。

 このバトルに三笘は敗れたのだ。データサイト『Sofa Score』によると、今季の三笘の地上戦勝率は52.8%を記録しているが、トッテナム戦の地上戦勝率は25%(12戦3勝)に留まった。

 ケインが勝ち越しゴールを決める直前の場面でも、ロメロは三笘に対してマンマークについており、日本代表FWがダイレクトで横パスを狙うのを先読みしてカット。すぐにソン・フンミンへとボールを預けて、追加点の起点となった。

 また17分の三笘がハンドを取られてノーゴールとなったシーンでは、わずかにロメロが日本代表FWの背中を押している。三笘のイメージであれば胸でトラップしていたところだったが、直前に軽くプッシュされたことでトラップしようとしていた身体の箇所がズレて腕に当たってしまった。

 ロメロはこうした駆け引きの部分が抜群に上手い。今回の対戦ではアルゼンチン代表DFが一枚上手だった。

 冒頭に述べた通り、この試合で三笘は相当悔しい思いをしただろう。その一方で学んだことも多いはずだ。これからブライトンはアーセナル、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッドなど上位チームとの対戦が控えている。この強豪との対戦で三笘は成長した姿をみせることができるだろうか。

1 2 3 4

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!