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なぜ三笘薫は抑えられたのか?トッテナムDFに完敗、抜群に上手かった駆け引き【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

先制点がカギを握るトッテナム戦



 この試合の明暗を分けたと言ってもよいのが10分に決まったソン・フンミンの先制ゴールだ。

 3-4-2-1で戦うトッテナムは自陣で堅いブロックを敷いて、そこからボールを奪ってからの縦に速いカウンターを持ち味としている。このようなチームは先制点を決めることができるかどうかが生命線となる。

 先にリードをしてしまえば、自分たちから攻める必要がないので、重心を下げて相手のスペースを消して守り切ろうとする。逆に先制点を献上してしまうと、相手に重心を下げられてしまい、自分たちがカウンターで使いたいスペースをなかなか作ることができない。カウンターを得意とするトッテナムからすると、ある程度は相手に攻めてもらった方が戦いやすいのだ。

 先制点の有無は今季の成績に直結している。今節の前の時点で、先制された試合の成績が16試合11勝3分2敗だったのに対し、先制点を献上した場合は12試合4勝2分7敗だった。逆転勝利した4勝もサウサンプトン、レスター、ボーンマス、リーズと残留争いをしている調子の悪かったチーム相手から奪ったものであり、中堅より上位を相手に勝利をするためには先制点が必須となっている。

 ブライトン戦ではこの思惑通りに先制に成功した。先制点を決めてからのトッテナムは狭い距離感で5-4のブロックを敷き、ブライトンにボールを持たせるという思い通りの展開となった。

 トッテナムが5バックで引いてきたのに対して、5レーンを上手く活用して攻撃をしたいブライトンはスペースが消されたことで苦戦を強いられた。一時ブライトンが同点に追いつくゴールもセットプレーからのものであり、オープンプレーではチームとしてトッテナムのブロックを打破することができなかった。

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