FW:アンス・ファティ(スペイン代表)
【写真:Getty Images】
生年月日:2002年10月31日
契約期間:2027年6月30日まで
22/23リーグ戦成績:25試合4得点3アシスト
バルセロナのカンテラ(下部組織)時代にサッカー日本代表MF久保建英ともプレーしていたアンス・ファティは、かつて「神童」とも称された存在だ。そのような選手が、20歳という若さでバルセロナの放出候補に挙がるとは、数年前までならば想像できなかったことである。
ファティは若干16歳でトップチームデビューを果たした。そこから才能が本物であることを証明するまでに多くの時間を必要とせず、ラ・リーガやチャンピオンズリーグ(CL)で数々の最年少記録を塗り替えていった。スピードを生かしたキレのあるドリブル、左右両足から放つ高精度シュートなど、プレースタイルは偉大な先輩であるリオネル・メッシと重なる部分も多く、メッシの後はファティがバルセロナのアイコンになると誰もが信じていた。
しかし、ファティは2020年11月に左ひざ内側半月板断裂の大怪我を負い、長期離脱を強いられてしまう。そこからは怪我の連続であり、メッシから10番を受け継いだ昨季もその影響でまともに稼働することができなかった。今季は長期離脱こそしていないが、シャビ・エルナンデス監督が怪我の再発を恐れ慎重に扱っていることもあってか、プレータイムはあまり伸びていない。デビュー後一気に高まった評価は、まるでジェットコースターのように落ちている。
大怪我をしてからは以前までのようなキレも失ってしまったファティはバルセロナ残留を希望しているようだが、現状はあまり説得力がない。資金調達を目的としたクラブにより、それなりの価値が付いているうちに売却されても不思議ではないだろう。“メッシの後継者”は、早くも大きな正念場を迎えている。