“三笘対策“を逆手に取ったブライトン
三笘に対しては先述したような2人がかりでの守備対応が多かった中で、どのようにアシストをしたのだろうか。得点シーンではこのダブルチームでの守備の裏をかく攻撃ができていた。
左CBのルイス・ダンクが相手陣内まで持ち上がって、左足での浮き球パスを裏へと抜け出した左SBのペルビス・エストゥピニャンへと通した。この時エクアドル代表DFに対してのボーンマスの守備対応が遅れるのだが、それは三笘の存在が大きかった。
右SBのアダム・スミスは先述した通り、三笘に対してマンマークでついており、この場面でも日本代表FWにパスを出されることに注意を払っていた。これを逆手に取ったダンクとエストゥピニャンが機転を効かせて、裏のスペースを使った攻撃を行ったのだ。
この後にエストゥピニャンはフリーでペナルティーエリア内に侵入してグラウンダーのクロスを上げる。これはセネシがクリアするも、そのこぼれ球が三笘のところに渡った。本来は三笘へのマークについていたはずのスミスも、この時ばかりはエクアドル代表DFへの対応に回っており、余裕を持った状況でファーガソンにラストパスを通されてしまった。
このシーンこそブライトンの強さを証明している。三笘のような圧倒的なドリブラーがいれば、チームによってはその選手に攻撃の全てを依存してしまいがちだが、ブライトンの場合は日本代表FWをおとりに使い、周りの選手だけでも十分に攻撃ができる。三笘の存在がチームの攻撃に多くの選択肢を提供しているのだ。
これからも相手チームは“三笘対策“を徹底してくるだろうが、それでもブライトンはかいくぐって勝ち点を積み重ねることができるだろう。
(文:安洋一郎)