リスクを負わないと難しいボール保持の強化
今回の2試合はボール保持を試みたわけだが上回ることはできなかった。相手の保持を前提としたカタールワールドカップのスタイルでやるのならば、MFかDFのどちらかのラインに「5」を作らないと守備の強度はおそらく見込めないので4-2-3-1は適していない。
これでボール保持の強化を諦めることはないと思うが、成果をあげるにはリスクをもっと負わなければ難しいかもしれない。保持型のポイントになるGKを筆頭に人選を代える必要がある。ただ、それがワールドカップでベスト8以上を狙うのに適しているかといえば疑問も残るのだ。
今回対戦した2チームは圧倒的に保持できるタイプではなく、保持力の強い相手であれば圧倒的にボールは握られてしまう。そしてラウンド16や準々決勝ではそうした相手と当たる可能性がそれなりに高い。
そうなるとボール非保持を前提とした人選とシステムをベースに、その中で保持力も可能な範囲で上げるという強化策に落ち着きそうだが、現時点でその路線であるウルグアイ代表、コロンビア代表に後れを取っているという悩ましい現実があるわけだ。
ボール保持へのチャレンジがテーマとなった2試合は、結局のところ中途半端なチャレンジで追試が決定しただけという印象だった。
(文:西部謙司)
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